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2012 UK&Japan Joint Seminar in Chiba

Policy Integration between Environmental Assessment and Disaster Management(環境アセスメントと災害管理の政策統合)というテーマで、UKと日本の二国間交流セミナーを開催しました。アセスと災害管理との政策的な連携は、これまであまり議論されてこなかったテーマです。

 

                              【Final Programはこちら】

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前列中央が原科先生,左がProf. Fischer, Thomas. その左はIAIA元会長のRoss Marshall氏.

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初日は日英で交互に発表・ディスカッションし, 2日目の午前中は日本とUKに分かれてWSを実施.災害管理とアセスとの政策統合を目指すには,アセス手続きに災害関連の項目を追加してチェックするということと(特に事業アセス),都市計画や災害関連の計画にアセスを適用する,すなわち戦略アセスの適用範囲を拡大することが必要になる.アセスで災害管理をどこまで扱うかは難しい問題で,今後の課題として共有できた.

今回は"Japanese EIA system and its practice relevant to disaster management"という表題で,災害関連の影響評価が環境アセスにおいてどのように行われているかを調べて発表しました.得られた主な知見は以下の通り.

 ・全体的な傾向として,法対象アセスでは災害関連事項についてあまり扱われていない

 ・一部の条例アセスでは扱われている.

   例えば,

    −神奈川県,横浜市,川崎市などのアセス制度では,「安全」が評価項目として設定されている

    −山林の開発事業では地すべりや水害の危険性に関するアセスが実施されている

    −道路建設の事業などで地震災害について調査している事例がある(予測はしていない)

 ・またこれらの災害は,「災害によってその事業がどのような影響を受けるか」ではなく,「その事業を実施することによって引き起こされうる災害(周辺への影響)」を対象にしている

最後の点は今回の調査を通じて気が付いたことですが,アセスの本来の趣旨から考えると当然ともいえます.

災害リスクの評価や管理をアセス手続きの中で実施することの意味は,その結果が公開されること(情報公開),また自然・社会環境に関連する豊富なデータを活用できる(総合的な評価)という点で意義があるように思います.

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女川町を視察.震災当日の状況を聞くとともに,復興計画についてお話いただいた.住民が住み続けられるまちをいかにして復興するかが喫緊の課題.それと同時に,将来,同じ規模の地震が起こった場合,防災だけではなく,減災という考え方で対応できるまちにすることが求められている.例えば,防波堤の建設に加えて,海から高台の山の方へ放射状に逃げ道をつくるという考え方が復興計画に反映されていた.

 

 

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(右上)レセプションはホテル・レバントの和食レストラン.背景にはライトアップされたスカイツリー(不謹慎かもしれませんが)首都直下型地震に耐えられる?

 

「災害とアセスの統合」というテーマはこれまで十分に検討されてこなかったという意味で難しいテーマでしたが,今後,首都直下型や南海トラフの地震が起こる可能性が指摘されていて,今後も引き続き検討していく必要があります.何をどこまでアセスで扱うかの線引きがポイントになるように思います.

 

今後も日英交流を深めつつ,災害から見たアセスのあり方を検討していきたいですね.

幹事の多島さん,杉本さん,エクスカーション担当の畦地くん,鈴木くん,お疲れ様でした!