公共的な課題解決には、古びて錆びついた既存の社会システムを修復して、解決に向けた方向を提示することで、システムを再構築していくことが不可欠です。これは旧態依然とした社会を変えようとするダイナミックな世界であり、これを環境分野で実践するのが“環境計画”や“環境政策”といえます。 錦澤研究室では、環境計画・政策によるアプローチから社会システムを検証・提案することで、公共的な課題解決に貢献することを目指しています。具体的には、風力発電や太陽光発電事業などの再生可能エネルギーによる環境問題や環境紛争を解決・回避するための政策手法や計画技術の開発に取り組んでいます。 研究では実地調査を重視します。その対象は主として社会環境、すなわち、人の認識・意識・行動、それらを取り巻く組織・仕組み・制度です。このため、ヒアリング調査やアンケート調査、行政資料や議事録などを収集して、それらがデータソースとなります。 現代の市民社会では、公共的課題の解決のために社会の変容を促すのは、特定の専門家や行政に限らず、市民ひとりひとりです。そこで、多様な価値観を持つひとびとの考え方やアイデアをひとつの方向に束ねて実行していくための“合意形成”が重要になります。
公共的課題や合意形成の問題はひとびとの意識や価値観、立場や利害がぶつかり合う複雑な世界です。これらを丹念に調べていくことで見えてくる社会の構造、そしてそれらの知見を踏まえて実際の政策立案に関わることができること、これが環境計画・政策の魅力と言えるでしょう。
|