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北海道稚内市周辺で風力発電に関する調査に行きました

2014年8月18-25日,畦地君がドイツの風力発電施設のゾーニングの仕組みを参考に開発した手法を,北海道の宗谷地域を対象に試行的に実施し,環境保護団体や行政関係者から意見を伺った.

 

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(左上)ヒヤリング調査の合間に幌延町にあるオトンルイ風力発電所を視察.海岸線3kmにわたって高さ100mの風車がほぼ一直線に並ぶ.観光者の目線で見れば壮大で美しいともいえるが,これを原風景とする地元の方にとってどのように映るか・・・.風力発電によるビジュアルインパクトの問題は,主体や眺望点,景観要素などによって複雑に変化する.このため,ゾーニングだけではなく個別事業段階でも慎重に考慮する必要がある.

(右上)ヒヤリング調査したサロベツ湿原センターにあるサロベツ原生花園.環境保護の立場からは,概ねゾーニング制度に賛同する意見が多かった.特に野鳥に関する情報については日本国内津々浦々,網羅的に把握することは難しく,ゾーニングを導入することで調査対象を絞るというメリットがある,との意見が印象に残った.原生花園は360度どこを見渡しても地平線が拡がる.

 

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(上)日本野鳥の会道北支部の方へのヒヤリング調査のため利尻島へ渡った.利尻礼文サロベツ国立公園内ということで,どこに行っても豊かな自然が拡がる.

 

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(上)一瞬だけ姿を見せた利尻富士.すぐ雲に隠れてしまう.基礎自治体でのヒヤリングでは,団体によってとらえ方がさまざま.地域単位でゾーニングを実施すると,自治体によって適地の多い/少ないの偏りが出るので,公平性をどう担保するかなど難しい問題がある.かといって,自治体単位でゾーニングを策定するとなると,人的資源や行政区域の境界周辺の扱いの問題など別の課題が出るという.

 

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(上)宗谷岬ウィンドファームを視察.出力1万kwの風車が57基設置されている.

 

現在,北海道では,FITの導入により多くの事業が計画中.環境保護団体による反対運動が起きている事業もあるようで,今後の展開を注視したい.将来的にゾーニングが導入されて,紛争回避に役立つことを期待したい.

 

尚、畦地君の研究は今年度博士論文としてとりまとめられる予定で,模擬ゾーニングの結果については,今年の風力エネルギー学会の大会でも発表しています.